イヴリー・ギトリス ヴァイオリンリサイタル
11/18(金)、東京文化会館小ホールで行われた、イヴリー・ギトリスのヴァイオリンリサイタルを聴きに行ってきました。
いや~、もう・・・。
一言でいえば、「最高!」でした(^^ゞ。
こんなに楽しいと思ったコンサートは今までありませんでした。独特のギトリス節、多彩な音色も楽しめましたが、それ以上に素晴らしかったのがギトリスのお客さんを楽しませようとする心でした。あれを本当の「プロ」というのでしょうね・・。ギトリスの演奏を聴くと、自分がお金を取って弾いていることが恥ずかしくなるくらいです。
どうしても自分のコンサートなどでは「練習の成果を発揮しよう」「自分の音を聴いてもらおう」「良い演奏をしよう」などとつい自分のことに目が向いて自己満足になってしまいがちです。もちろん「お客さんを楽しませよう」「良い音楽を知ってもらおう」という気持ちもあるのですが、ギトリスは本当にそれに徹底しているんですよね。
お客さんを楽しませるというのは演奏だけには限りませんでした。例えば今回ピアニストが譜面を楽屋に忘れてきたというハプニングがあったのですが(その前にはギトリスもミュートわすれました(笑))、ピアニストが譜面を取りに行っている間、一人舞台に残ったギトリスはピアノの椅子にどっかと腰を下ろし突然バッハのパルティータ3番のガヴォットを弾き始めたのです。これにはお客さんも大喝采(笑)。
もちろん肝心の演奏もとても楽しめるものでした。やわらかな音色とエッジの効いた音色のコントラスト、輝かしい高音、ポルタメントと鋭いフィンガリングなど様々な技巧を駆使し、独特のギトリス節で全ての曲を歌い上げていました。あれだけ自由に弾いているのに不思議とダルさやいやらしさを感じないのが凄いです。もうすぐ83歳になるというのに弓先からの鋭い発音、レフトハンドピッチカート気味の下行スケールなど、やわらかさの中に「キレ」を感じさせるあたり、さすがでした!
演奏曲は、ヒンデミットのソナタ、ベートーヴェンのスプリングソナタ、ブラームスのスケルツォ(FAE)、シマノフスキの小品2曲、ツィゴイネルワイゼンで十分楽しめましたが、なんとアンコールで美しきロスマリン、タイスの瞑想曲、クライスラーのシンコペーションなど有名どころを4曲も演奏して、最後の最後まで楽しませてもらいました。最後は今までみたことがないような、客席の半数以上が立ち上がるというスタンディングオベーションの嵐で幕を閉じました。
本当に今回はプロの演奏を聴かせてもらいました。クラシックの世界では作曲家の残した名曲の素晴らしさを聴衆に示す、まず作曲者ありき、作曲者の意図を尊重すべき、ということが他のジャンルの音楽に比べて重視されています。でもギトリスのような演奏を聴くと何かクラシックだけがちょっと凝り固まってしまっているのかな、もう少し自由でもいいのかなと、改めて考えさせられるほどでした。
またギトリスが来日することがあったら聴きに行きたいと思います。とにかく楽しかった!
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