レオニダス・カヴァコス
先日、スカパー!のクラシカジャパンをながら見していたら、チャイコフスキーの協奏曲の序奏が。
ソロは誰だろうと思って見ていたら、登場したのはちょび髭を生やしたメガネの・・・と誰だか判った瞬間にHDDレコーダーの録画ボタンを叩いていました(笑)。
レオニダス・カヴァコスはギリシャ生まれのヴァイオリニストで、シベリウスコンクールとパガニーニコンクールで優勝歴があります。
しかしどういうわけか日本だとあまり知られておらず、CD等のソースを探すのにも苦労します。今までに聴いたシベリウスのコンチェルト(CD)、イザイの無伴奏ソナタ集(CD)、N響定期でのコルンゴルトの協奏曲(BS2)のいずれもが素晴らしい演奏だったので、今回カヴァコスがチャイコフスキーを弾くと判った瞬間にリモコンに飛びついたわけです。最初の数音は欠けてしまいましたが、問題なしです(笑)。
録画しながら観たのですが、いやホント素晴らしいですね。技術の完璧さと音色の透明感、そして迫り来る音楽というものは、最初の数音を聴いただけでもわかりましたが、期待を裏切らず、いや期待以上の素晴らしい演奏でした。
エーネスと同じく、一体どんな楽器を使ったらこんな音が出せるんだと思わせるような、音の全ての要素を完璧なまでにバランスさせたような楽器の鳴らし方をします。エーネスとはもちろん音質も音楽性も違いますが、カヴァコスはとても透明感のある音、気持ちの良いエッジの効いた音、フォルティッシモでも決して潰れることのない和音など、とにかくボウイングが見事です。
ヴァイオリニストの価値はヴィブラートで決まるとも言われるほど、ヴァイオリニストにとってヴィブラートは重要な要素ですが、カヴァコスはヴィブラートとノンヴィブラート、また同じヴィブラートでも陰影の付け方が豊かで、しかもセンスが良くコントロールも絶妙。
フィンガリングも素晴らしいの一言。完璧なまでに完璧です。
しかしその素晴らしいボウイングとは裏腹に、弓の持ち方や右手の構えはかなり独特でした。肘はかなり下がり、小指は伸びたまま、親指に至っては反り返っていて、見た目にはまるで悪いお手本のようです(笑)。
また、トリルやヴィブラートの時に右手を波打たせるようにボウイングしているのも気になりました。あれは癖なのか、それとも何か演奏効果を狙っているのか???
波打ちはともかく、ボウイングは指が非常に柔軟で、腕から弓へと伝わっていく動きもスムーズで、コントロールが完璧であるということは音を聴けば判ります。逆に言えば、見た目でヴァイオリンの演奏を簡単に判断できるものではないということです。
よく、「あの持ち方でよく・・」「構えからは想像も付かないような・・」などという演奏を目にすることがありますが、外からちょっと見ただけのいわゆる見た目の印象と、実際に中で何が起きているかというものは必ずしも一致するものではありません。
生徒さんなどを見ていても、明らかに力が入っているとか無理な構えになっているのはすぐにわかりますが、自分も含め、教師というものは得てして見た目で全てを把握していると勘違いしてしまいがちです。見た目の印象だけでなく、音を聴きながら中で実際に何が起きているかを把握するということが、教える上で非常に大切なことであると改めて認識させられました。
なんてことを考えながら観ていたら、録画しているのにもかかわらず結局最後まで観てしまいました。放送が始まったのはそろそろもう寝ようかという夜中の2時半だったのですが目が覚めてしまい・・・。しかしこのカヴァコスの演奏は今まで映像で観たチャイコフスキーの中で最高の演奏だったかもしれません。
ちなみにカヴァコスの楽器「ファルマス」は、名器ストラドでもロングパターンと呼ばれる1692年のものだそうです。自分で弾くとどんな音がするんだろうか・・。今までストラドはそう何本も弾いたことがあるわけではありませんが、ストラドのような名器のイメージを常に持つことは、演奏の上でも楽器選びの上でも大切ですね。
カヴァコスは日本ではあまり有名でないのか、CDもあまり出回っていません。先にも書きましたが持っているのは下記の2枚です。
・シベリウス ヴァイオリン協奏曲
・イザイ 無伴奏ヴァイオリンソナタ集
イザイは2番、5番などが特に素晴らしいです。2番は前にコンサートで弾いたので勉強させていただきました。シベリウスは一般的に演奏されている改訂版に加え、初稿版も録音されているという貴重なCDですが、演奏は良いものの録音がオフマイク過ぎ&残響効き過ぎでソロの音を楽しみにくいのがちょっと残念です。
もっといろいろ聴いてみたいと思うのですが、Amazonで輸入盤を探したら出て来ました。

Leonidas Kavakos Plays Debussy; Kreisler; Paganini...
クライスラーの方でも買ってみようかな・・。
※スカパー!のクラシカジャパンに加入している方へ
今回のチャイコフスキーの再放送ですが、7/30(月)の朝7:40~だそうです。カヴァコスの演奏を聴いてみたい方は録画予約をお忘れなく!
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