F1ブラジルGP、琢磨12位、ライコネンが総合V
F1ブラジルGP決勝、琢磨は12位フィニッシュを果たしました。
去年の素晴らしい10位に比べるとパフォーマンス不足ではありましたが、苦しい予選位置から混乱の中でのジャンプアップ、ペースの上がらない苦しい状況での走り、そして再びペースを取り戻してからの力強い走り。困難な状況の中で良いレースをしたと思います。
特にスタート直後の混戦の中でのジャンプアップ、毎度のことですが凄いです。多くの車がひしめき合う中で周りの状況を一瞬で把握し、どこにクルマを持って行ったらよいかを素早く判断することが出来るのでしょう。琢磨の抜きんでた才能の一つでしょう。
デヴィッドソンは相変わらず不運でしたが、それでも最後まできっちりこなし14位フィニッシュ。今シーズンの彼は運に見放されたりすることも多かったですが、時には琢磨を上回るパフォーマンスを見せることもありましたし、来期につながる良いレースをしたと思います。
さてトップ争い。スタートはライコネンとウェバーが好スタート。ライコネンは2位にジャンプアップしたもののウェバーは前の小さな混乱で5位に逆戻り。ハミルトンはライコネンのテールスライドで減速せざるを得なくなりアロンソにパスされる。
そしてハミルトンは次のコーナーをアウトからチャレンジし、コースアウト!
しかしハミルトンはポイント差を考えると焦る必要はないはず。これでプレッシャーから解放されて落ち着いてレースをするかと思われたその矢先、なんとその後ハミルトンがスローダウン! ギヤがニュートラルに入ってしまいなんとか復活したときにはすでに40秒近いロスで最後尾に。万事休す。
トップを走るマッサとライコネンは接近しているもののアロンソはどんどん後退。予選の時からアロンソは他のライコネン、マッサ、ハミルトンに対して精彩を欠いている感じ。
ハミルトンが18番手まで後退かつ大量のタイムロスをしていることを考えると、実質的にはライコネンとアロンソの争いになりますが、アロンソ3位ならばマッサがトップをライコネンにゆずればライコネンがチャンピオン。
アロンソは途中BMWの3ストップ作戦のクビサにオーバーテイクされるも最終的にはなんとか3位にとどまる。
フェラーリはいい形で先頭交代を行い、ライコネンがトップに。このままチェッカーを受ければライコネンのチャンピオン確定。
ハミルトンは後方から追い上げるも、3ストップという賭けに出たことが仇になったか7位止まり。作戦を3ストップにしたのにタイヤ選択が保守的だったのが気になりましたが、オーバーテイクを繰り返しながら最後まであきらめないその走りは来期につながることでしょう。
そしてそのままチェッカー。なんとライコネンの逆転チャンピオン決定! 三つ巴のチャンピオン争いでポイント最下位のプロストが逆転チャンピオンを獲得したのが1986年。歴史は繰り返されるのか。
優勝後の表彰台、そして記者会見でのライコネンはいつもと違って見えました。表彰台では感極まり、記者会見ではいつもはあまり口にしないチームやスポンサーへの感謝の言葉。チャンピオンの実感はまだまだこれからという感じでしょうが、ライコネンの中で何かが変わったことは確かでしょう。
シーズン序盤はらしくないミス、パフォーマンス不足に悩みましたが、シーズン終盤には安定して速さを見せるようになり、重要なレースできっちり優勝。最後のレースではある意味運に助けられたともいえるかもしれませんが、今まで散々運に見放されたのですから、そのくらいのプレゼントは受け取ってもいいでしょう!
今まで何度も「運に見放された男」としてチャンピオンを逃したライコネン。ようやくチャンピオンを掴むことが出来ました。おめでとう!
そしてハミルトン。最後の最後でマシントラブル。出来れば最終戦だけは皆にトラブルが起きて欲しくなかったのですが、今シーズンの彼の働きは本当に見事なもので、デビューイヤーながら何度もチームメイトのアロンソを圧倒した走りは驚きでした。
シーズンを振り替えりアロンソとハミルトンの対決を考えると、アロンソはただの一度も大きなトラブルに見舞われなかったのに対し、ハミルトンはタイヤバースト、予選でのホイール外れ、そして今回のミッショントラブルなどマシンのトラブルが重なりました。
それでもなおシーズンが終わってアロンソと同ポイント。2台に同程度にトラブルが起きていればハミルトンがもう少しポイントで上回っていたはずですし、ハミルトンとしてみればデビューイヤーに2年連続チャンピオンを上回るような走りが出来たということは非常に価値のあるものだったと思います。間違いなく今シーズンのMVPでしょう。
それと、ハミルトンは非常に聡明でかつチームを大切にする姿勢が印象的でした。自分&チームのダブルミス(でしょう)でリタイヤした中国GPのあともチームスタッフと笑顔で握手をし、今回もまたマシントラブルだったのにもかかわらずスタッフと笑顔で互いの労をねぎらっていました。そういう姿勢こそがチームから絶対的な信頼を勝ち取ったあのミハエルのような姿につながっていくのでしょう。
アロンソは苦しいシーズンでした。マシンの信頼性を武器に今シーズン最もポイントの取りこぼしのないドライバーだったような気がしますが、ミスを連発したレースや物議を醸すようなこともありましたし、今までにない苦境を味わったと思います。
一部にはミハエルのような絶対的No.1体制があれば、という声もありますが、ミハエルの場合はデビュー当初からチームメイトを圧倒し続け、実力でNo.1を勝ち取ってきたドライバー。アロンソの「自分はダブルチャンピオンだ!優遇されるべきだ!」というのとは少し違ったような気がします。そしてハミルトンがポイントでリードし始めると「平等のマシンを!」というコメント。
アロンソはチームとの不和が目立ちましたが、ある意味それは仕方のないことだったかもしれません。そもそもマクラーレンのような厳格なチームとは合わなかったということ、そして自分より強いチームメイトが現れてしまったということ。アロンソにとってみればこの2つが同時に重なってしまったことが「不運」だったのかもしれません。
それと個人的な考えですが、アロンソが移籍したのは弱体化したチームと共に強くなりチャンピオンを取る、というプロセスを味わいたかったのだと思っています。かつてミハエルが弱体化したフェラーリに移籍をし、自らチームを育て、絆を深め、そして最終的には勝ち続けることでミハエルのチームを築き上げたように。
確かに去年のマクラーレンはパフォーマンス、信頼性共に低く、たとえ移籍してすぐに勝てない可能性が高かったのですが、マクラーレンの今年のマシンは最初から速く、さらに「0.6秒速くした」というのもフェラーリの情報を使ってデラロサ及びエンジニアと行った限りなく黒に近いグレーな行為。そしてチームと共に進化するということよりチームメイトのとの戦いを強いられてしまった。これがアロンソのやりたかったことかと問われれば違ったでしょう。
コースの内外、およびいろいろな意味でアロンソは今年評価を落としましたし、チームとの関係も最悪だと言われています。おそらく移籍することでしょう。
これから来シーズンに向けてのストーブリーグの最大の目玉はアロンソがどこに移籍するかということですが、アロンソほどのドライバーだとチャンピオン争いが出来るチームでなければ、という意見や予測が多いですが、マクラーレンに移籍する前のことを思い出せばそうでもないような気がします。将来性があり、かつ現在問題を抱えているチームに移籍し、チームを強くし共にチャンピオンを取る、そんなことが出来るチームに移籍するのが良いと思うのですが・・・トヨタか? トヨタも日本企業では非常に成功した会社ではあるものの、F1の世界では随分と古くお堅いチームのようで、アロンソには合わないかもしれませんが・・。
スーパーアグリの来期はまだ何も決まっていませんが、カスタマーシャシーが認められればホンダの2008年モデルを、そうでなければ参戦が危ういという状況です。ウィリアムズやスパイカーの言い分もあると思いますが、スーパーアグリ、トロロッソ、そして来期参入予定のプロドライブが参戦見送り、なんてことにならないことを願っています。
2007年のF1シーズンは閉幕しましたが、これからのストーブリーグが楽しみです。
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