コバケンとその仲間たちオーケストラ 2008山形 その3
<3日目>
演奏会当日。バスでホテルを後にして山形県民会館へ。
公開リハーサルは最後の仕上げ。プログラムはヘビーなものがあまりないので、コバケン先生のトークを交えながらになるのですが、トークの途中でいきなりフルートだけでメロディを吹かせたり、パート毎に弾かせたり、などはもちろんアドリブ。リハでもいろいろ試していて、「心の準備だけはしておいてね」と言われました(笑)。
本番前。ここで最初のハプニングが。妻の弓のネジがダメになってしまい、ネジを回しても強く張れない状態に。しかし上手く引っかかっていてかろうじてある程度の張りのまま保たれているので、「そのまま本番終わるまでネジには触らずに」ということでなんとか乗り切ることにしました。
なお咳の方ですが、2/12から飲んでいたフスコデ+セレスタミン3T/日がようやく効いてきたのか、咳が大分落ち着いてきました。咳は緊張状態になると抑えられる傾向があるので本番の緊張が加わればステージはなんとか大丈夫か???
会場は満員のお客さんで立ち見の方もいらっしゃいます。曲はフィンランディアから。演奏前にコバケン先生の解説でいろいろテーマをお客さんに聴いてもらってからいよいよ演奏。曲を知らない方はもちろん、曲をよく知っている方にもより一層楽しんでいただけたのではと思います。
コンサートの目的ともなっているスペシャルオリンピックスは障害者と健常者の共存をテーマにしていますが、少し意味は違いますがコンサートにおいても「音楽をよく知っている方」と「音楽をあまりよく知らない方」の両方のお客さんに楽しんでもらえるというのはとても重要なことだと思います。
音楽を、あるいは曲を知らない方には曲の解説はもちろん、パート毎の音などというのは新鮮だと思いますし、より一層これから演奏する曲に興味を持って楽しんでもらえると思います。もちろんクラシックに詳しい方にもコバケン先生による本物の音楽をお聴かせすることが出来れば、それもまた楽しんで頂けると思います。
なんてことを考えながらプログラムはトランペットの佐々木さんによるトゥーランドット、そしてヴァイオリンの瀬崎明日香さんによる序奏とロンドカプリチオーソ。素晴らしかったです。
特に瀬崎さんはそのほとばしる情熱とパッションにあふれた素晴らしい演奏家ですし、技術だけでも目が飛び出るほど素晴らしいのですが、透明感のある音、少し乾いた深みのある音など、以前にも増して多彩な表現が次々に生み出されていくのは感動的でした。
ダニーボーイ、ハンガリー舞曲5番で前半を終わり、後半はモルダウから。モルダウも曲の解説やパート毎に主題を演奏したりしてお客さんの興味を惹きつけたところで演奏開始。本当にコバケン先生の下でモルダウを弾けるのって幸せですね。特にあの「村の婚礼」に入るところからなんて、本当に最高です。
そして曲も大詰め。急流でE線開放弦をうならせながら、1stヴァイオリンの最大の難所「最後のページの左下半分」の直前でなんとハプニング。難所だけにここはきちんと弾かないとと身構えていたのですが、まさにそこに入る寸前に「パキッ」という音が。
そのまま弾き続けるもなんかおかしい。音程?弦がゆるんだ?何線?といったのを確かめようにもあの箇所に入った直後では気づかず、何度かEの開放を弾いてE線が半音以上下がっていることに気づきました。
とっさに高く取って弾きましたがさすがにあの場所ですからね・・・。しかしなんとか弾いてやるとばかりに最高音から下りてくるところはE線だけ半音くらい高めに押さえて気合いで乗り切り、subito pp。このまま行けるかと楽譜の先を見るとずっと移弦の分散和音・・・orz
さすがに諦めて、E-durのテーマに入ったところで演奏を停止してE線を締め直しました。乾燥しているのでなかなか締まらず「フン!」と気合いを入れたら脇腹に痛みが走るが我慢。そのテーマの最後の方では復帰出来たので、他弦が狂っているのを気にしつつも残りを精一杯弾きました。・・・・久々に本番で冷や汗かきました。
その後はコンサートも順調に進み(僕以外は元々順調です)、「ベルサイユのバラ」池田理代子さんによるソプラノで、「初恋」、「私のお父さん」。やさしい歌声を楽しませていただきました。池田理代子さんは今回のコンサートに向けて講演他いろいろな活動をして下さったとのことです。本当に頭が下がります。
最後はチャイコフスキーの1812。いつもよりもテンション高めで熱い演奏となりましたが、最後の地元山形中央高校吹奏楽部とのバンダでは抑えの効いたテンポで非常に引き締まった演奏になったように思います。
最後の音を待たずしてお客さんの拍手の嵐。そしてスタンディングオベーション。会場全体が一つになったその瞬間は、演奏者も聴衆も健常者も障害者のアスリートもありません。通常のコンサートでは味わうことの出来ない、特別な瞬間でした。
このコンサートは、スタッフをはじめたくさんの方々の協力無しには実現できないものでした。本当に感謝いたします。移動、食事、宿泊、リハーサルから本番など至れり尽くせりで、頭が下がります。
また、個人的には本当にギリギリでしたが咳が落ち着いて、本番中一度も咳をせずにすみました。一時はどうなることかと思っていたので・・。妻の弓も終演後にネジを回したら案の定スカスカに・・・。こちらもギリギリだったようです。
終演後は慌ただしく片付けをしてすぐに出発。バスでは「九十九鶏弁当」に舌鼓を打ちつつ友人たちと話をしていましたが、やはり疲れていたのかほとんど寝ていました。思ったより混んでいなかったようで、池袋で皆とお別れをし、埼京線とタクシーを乗り継いで日付が変わる前には無事帰宅できました。
今回はスケジュール的にも余裕があったので慌ただしかったのは帰りくらいですが、終わってみればあっという間の濃密で充実した3日間でした。山形の景色、料理、お酒、そして地元の人々。音楽以外の面でも非常に充実していたというのも大きいですね。
この素晴らしい企画、いつまでも続いて欲しいと思いますし、また参加できたら参加したいと思います。小林研一郎先生、桜子さんご夫妻をはじめ、この企画に関わった多くの方々、本当にありがとうございました!
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