ヴェンゲーロフ モスクワコンサート
だいぶ前になりますが、スカパー!のクラシカジャパンでマキシム・ヴェンゲーロフのモスクワコンサートを放送していました。
ヴェンゲーロフのような大物が小品を弾くコンサートというのはなかなかないもので、非常に貴重な映像でした。パールマンなどは積極的に小品を取り上げていますが、多くの場合巨大な大ホールで、客席から遠くなってしまって何弾いているかよくわからない、なんていうのが常でした。今回のようにマイクが近くに入っていると生よりむしろ録画の方が楽しめます。
有名な演奏家だと聴きたいという聴衆の数を考えると小ホールなどはなかなか難しいのかもしれません・・・。
さてさてヴェンゲーロフ。最初はブラームスのソナタ1番。もちろんヴェンゲーロフは上手いですし良い演奏なんですが何か物足りない。
と思っていたところ、案の定次のヴィエニャフスキ作曲「創作主題による華麗なる変奏曲」になったとたんもうヴェンゲーロフワールド!
冒頭の和音の鳴らし方、自由自在にはね回るテーマ、すさまじいヴィルトゥオーゾテクニックと、もう最初から最後まで刺激的ですばらしい演奏でした。今まで聴いたどのCDよりも良かったのは当然として、今まで最高だと思っていた王子ホールでのジェームズ・エーネスの名演にも引けをとらない、本当に名演そのものでした。
その後も華麗なるポロネーズ第2番、愛の喜び、パガニーニのカンタービレ、ラフマニノフのヴォカリーズと、「パガニーニの主題による第18変奏」そして最後のイザイ作曲「サンサーンスの主題によるカプリース」まで、本当に聴衆の耳と目を釘付けにするコンサートでした。
ヴェンゲーロフのすごさはテクニックはもちろんのこと、エンターテイメント性に感銘を受けますね。聴衆を楽しませ、そして自分も楽しむ、そして演奏不可能と思われるようなテンポで突っ込んでいってもそのまま弾ききってしまうあたり、さすがとしかいいようがありません。
音にそれほど魅力があるタイプの演奏家ではありませんが、メタリックで力強いG線の音、輝かしいE線、エッジが効いてスピード感のある音、表現力、技術、そして聴衆を楽しませるエンターテイメント性をあそこまで併せ持つ奏者はあまり他では見かけません。
それまでいろいろヴェンゲーロフのCDや映像を見てきましたが、モスクワコンサートは今までのヴェンゲーロフの印象を変えてしまうほど刺激的ですばらしいものでした。DVD化に期待したいところです。
まだ若い奏者ですし今後どのような演奏をしていくのか楽しみです。
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