弦楽器フェア2008 <新作楽器編>
10/31~11/2に行われた弦楽器フェアに今年も行ってきました。
今回は国内製作者の楽器のレベルの高さに驚きました。見て良し、弾いて良し、という楽器が多かったです。
個人製作者の楽器は製作~調整まで一人で行うので、プレーヤーとしては製作+調整というのを音で判断できるため評価がしやすいのですが、日本人の製作者、あるいは海外からいらして日本で製作活動をしている製作者の作品というのは以前と比べても非常にハイレベルで、隙のない楽器が多かったです。
もちろん調整の不良や造りでやや不具合がある楽器もありましたが、製作者の方とお話しをするときちんと把握されているケースが多かったですし、「ん?これはちょっと・・」というような楽器は以前よりずっと少なかったです。
お世話になっている陳昌鉉さんの楽器はより洗練された印象で、おそらく多くの方が気に入るであろうパワーのガルネリ型も良かったですが、僕的には弓で触れただけで音がとけ込んでくるようなストラド型が気に入りました。
フィリップ・クイケンさんのも良かったです。クイケンさんが「これはG線に芯がない」といっていた楽器が僕には好印象でした。弾き手によって奏法やツボ、重視するポイントが違うので、評価も人によって割れますね。
そのほかの方のも、以前は印象が薄かった方の楽器が良くなってたり、お話を聞いても去年からの改善点などを熱く語ってくださったりと、とにかく進化を感じました。それと製作者の熱意も感じました。
それに対し、海外から出展された作品は少々がっかりでした。もちろん良いのもあるのですが、平均値で比べてしまうと60~150万で購入出来る国内製作者の楽器の方が、150~300万するイタリア新作よりも良かったです。
なお、海外で活躍されている、菊田浩さん、高橋明さんの楽器も弾きましたが、さすがにチャイコフスキーコンクールでの優勝等、海外のコンクールで切磋琢磨している方の楽器だけあって、完成度に驚きました。造りも仕上げも音も小細工なしのまさに直球勝負。
僕は菊田さんのE線の音に酔いしれました。ヴィターリのシャコンヌの冒頭などを弾いてみましたが、訴えるようなあの音色は今回一番印象的な音でした。2台ともそうだったので菊田さんの音なのかもしれません。本来E線は楽器の音を評価する時にあまり重視されないものですが、僕はE線にこだわりがあるのかも・・。
ちなみに妻は高橋さんの楽器がお気に入りでした。御三家のもう一人、天野さんの楽器は弾く時間がなかったので、次回こそは弾いてみたいです。
総じて今年の新作楽器は、国内製作者の楽器のレベル向上と、海外で活躍されている日本人の作品の完成度が非常に印象的でした。
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