弦楽器フェア2008 <量産楽器編>
新作楽器以上にここ最近のレベルアップを感じるのが量産楽器。特に10~30万までの楽器の品質には驚かされます。
前は5万前後なら鈴木、10万ちょい出せればピグマリウスで決まりだったのですが、他メーカーも非常に力をつけてきており、一概にそうもいえなくなってきています。
技術と実績のある大手メーカーが優秀な職人のいる中国の工房を選定し、培ったノウハウをしっかりと伝授して楽器製作を依頼することで、質の高い楽器を中国の安い人件費で製作するようになったというのがその理由です。ピグマリウスや鈴木の中級以下のグレード、イーストマン、ヒューメビアンカ、などがそうですが、中国製のコストパフォーマンスは実に高いです。
さて、うちには生徒さんは15人以上いますが、当然ながら自分一人(もしくは夫婦二人)が楽器を購入する回数よりも、複数の生徒さんが楽器を購入する回数の方がずっと多いわけで、ある意味うちでは新作楽器よりも量産楽器は重要です。
ヴァイオリンをはじめたばかりの方や、格安楽器から最初のステップアップなどで手にされることの多い楽器ですので、今回もあまり人が寄りつかない量産楽器のブースも良く見て回りました。
量産楽器は高価な楽器と違い、購入してから何度も調整し直すことは少なく、買った状態のまま使うことが前提です。もちろん調整すれば良くなるのですが、楽器の価格を考えると買った状態でどれだけきちんと調整(特に音の面)がなされているかというのが重要です。
まず見たのがイーストマン。定価63000円のVL-100は良くできた楽器で、入門用としては必要十分。少し前であればこのクオリティでこの値段はあり得なかったように思います。
定価42000円のVL-80はさすがに板厚で材料のせいもあってか楽器が重く、鳴り方も他の10万クラスの楽器とは差がありましたが、削りだしで定価42000円ですからね。10年前の定価12万の某ブランドよりも良いくらいです。間違いなくプレスの鈴木No.200よりは良いですし、驚くばかりです。
次に見たのがヤマハ。ブラビオールという低価格ブランドとアルティーダという高価格ブランドがありますが、印象的だったのはブラビオール。V10やV20という低価格品の質が前よりも良くなっているように感じました。また、展示してあったV25という価格未定の楽器(27万くらいになるらしい)は実に良い出来で、そのまま本番で使えそうなくらいでした。
この「本番で使えそう」というのが僕の中での一つの基準です。何か少し我慢する部分があってもいざとなればソロの本番もなんとかこなすことが出来る楽器というのは、演奏に耐えるサブの楽器とも言えるわけで自分でも持っていても良いなと思いますし、生徒さんにも安心して薦めることが出来ます。
ちなみにヤマハの上の方のクラスが逆にパッとしませんでした。それだけ下の方が優秀というか、中国製のコストパフォーマンスが高いというか・・。安くてコストパフォーマンスの良い楽器を作るのと、手間暇かけて質の高い良い楽器を作るノウハウというのは全く別物なのかもしれません。難しいものです。
最後にジェイハイダも試奏しました。12万の101と30万のアランシェンヌを弾きましたが、過去に弾いた楽器と同じく今回も好印象でした。101はとても12万とは思えない隙のなさ、アランシェンヌはこのクラスにしては珍しく少しこなれた音になっており、どちらも非常にコストパフォーマンスが高いと感じました。
量産楽器とはいえ一本一本手作りの部分が多く、天然の材料を使っている以上楽器によるばらつきが出るものですが、過去に弾いたどのジェイハイダの楽器も外れがないというのは優秀です。楽器の価格帯によっては指名一点買いになってしまうこともありますが、そういったときも安心して購入できるかどうか、というのは量産楽器にとって重要なポイントです。
ピグマリウスは今までさんざん弾いているので今回は試奏しませんでしたが、ピグマリウスの強力なライバルが増えてきましたね。今のところ、生徒さんの楽器選びなどではピグマリウスの勝率が高いのですが、今後はジェイハイダなども良さそうです。取り扱いがもっと一般的になって欲しいものです。
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