楽器の駒&魂柱調整に挑戦 その3

ヴァイオリン

<ジェイハイダ>

ジェイハイダのアランシェンヌですが、生徒さん同士の個人売買となった楽器です。非常に太い音で男性的な迫力のあるパワフルな楽器ですが、前の生徒さんは男性で現在の使用者は女性なのですが、女性の生徒さんにはやや弾き心地が重いようでした。特にG線がなかなか鳴らせないそうです。

私が弾いてもちょっと重いかなと感じたので魂柱位置を測ると駒から1mm。これはかなり近いです。この生徒さんもお店に持っていく時間がないとのことで、私の方で魂柱を動かすことにしました。

E線A線をゆるめて魂柱を叩くも全く動く気配なし。他の弦を全部ゆるめても軽く叩いたぐらいではびくともしません。これはかなりキツくはいっているようです。

まずは3mmまで移動してみましたが、まだ少し固く感じたので最終的には駒から4mmのところまで動かしました。パワーは落ちましたがそれでも標準的な楽器くらいにはあり、G線の弾き心地も普通の楽器くらいには弾きやすくなり、全体のバランスも良くなりました。生徒さんのご要望にはほぼ合わせられたかなと思います。

量産楽器の多くは出荷されてからおそらく一度も調整されないケースが多いのではと思います。魂柱位置一つとってもおそらくまちまちで、それによる音の違いを楽器の個体差だと思ってしまっているかもしれません。もちろんそもそも調整なんてする予定がなければ試奏して調子が良いものを選べばそれで正解だと思いますが、調整での音の変化を目の当たりにすると楽器を選びも少し考える必要がありそうです。

楽器選びは信頼できるお店からお墨付きの楽器を紹介してもらい、その中から自分の好みに合う楽器を選ぶ、というのは基本中の基本です。で、その好みの楽器を選ぶ段ですが、試奏して良い楽器はそれはそれで良いものの、弾いた印象の悪い楽器、特に鳴らない、弾きにくい、こもる、などはある程度調整で改善出来る可能性があることを考慮、あるいは判断出来ないと、みすみす良い楽器との出会いを逃してしまうかなと思います。

それも含めての出会いと言ってしまえばそれまでですが、先日一度試奏して気に入らない部分があった楽器に、要望伝えて再調整してもらったら素晴らしい音に生まれ変わり、もともと作りも見た目も良かったので満を持して友人に紹介出来たなんてことがありました。弾いた時にお店に調整の方向性を伝えることが出来たのが良かったです。楽器の調整の理解を深めておいたことが役立ちました。

<モダンイタリアン2>

先日のとは別の生徒さんのモダンイタリアンです。この楽器も非常に明るく抜けの良い音で、同年代の他のモダンと比べても音の深みはあまりないものの、レスポンスが良くA線E線のイタリアントーンが魅力的です。生徒さんの好みがよく反映された楽器です。

モダンイタリアン
「モダンイタリアン」

こちらの楽器は特に問題はなく、ドミナントやヴィジョン、エヴァ・ピラッツィ、ピーターインフェルドなど、ナイロン弦であれば何を張っても良い音がしておりましたが、ガット弦を張ったところ非常に音量が落ちてしまいました。

もともとオールドやモダンでも低めのテンションが合うような楽器であればガットも全く問題ないのですが、こちらの楽器は強めのテンションとの相性が良いようでガットでは音の深みが出るどころか単純におとなしくなってしまいました。

わけあってガットをこのまま使い続けるため、音量アップ出来るか検討したところ駒と魂柱の距離を測ると4mm。半世紀以上経っている楽器ですしもう少し近づけても良さそうです。

本来であれば魂柱なりを調整していくべきところですが、ナイロン弦では現在の状態が非常に良いため魂柱は出来れば動かしたくありません。弦に合わせてその都度調整を変更するのは好ましくありませんし。

ということで非常手段で駒を動かせるか検討してみました。肩から駒までのストップは通常195mmですが、こちらの楽器を測ると駒厚のセンターで193mm。駒の重心付近でも194mm。本来の位置より前(指板側)にあり弦長も短いと思われるので、むしろ駒を後ろ(テールピース側)に1~2mm程度動かして魂柱をそれに合わせたほうが良いくらいです。

とりあえず1mmほど駒を後ろに動かして弾いてみました。すると楽器が息を吹き返したように鳴り出しました。弾き心地からしてあまり弦との相性は良くなさそうですが、それでも鳴りも音色もナイロンの時にかなり近づいた感じです。

その後1ヶ月以上経ちますが鳴りが再び落ちることもなく良い状態が保てているようです。このままナイロン弦に戻すと固くてうるさいくて弾きにくいと思われるので、その時は駒を戻すか魂柱を少し下げれば良いかなと思います。

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