ブラームス ヴァイオリン協奏曲

ヴァイオリン

少し前になりますが2018年9月10日、所沢ミューズのアークホールでブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾いてまいりました。

ブラームス ヴァイオリン協奏曲 リハーサル
「ブラームス ヴァイオリン協奏曲 リハーサル風景」

コンチェルトをオケ伴で弾く機会なんて人生で一度あるかないかかと思っておりましたが、幸運にもいつもお世話になっている方のご厚意で、東京地下オーケストラさんの演奏会でブラームスを弾く機会をいただくことが出来ました。

とはいえオファーいただいたのが本番の3ヶ月前。しかも私自身はブラームスは学生時代に遊びで弾いたくらいできちんと練習したことがなく、曲自体もある意味初挑戦になります。

もともとは過去に行った大きなリサイタルは半年~1年かけて練習しており、今回もコンチェルトを弾くのであれば9ヶ月欲しいと言っていたのですが、チャンスは待ってくれませんから思い切って挑戦してみることにしました。

心配な点はいろいろありましたが、大きく分けて三点。まずは暗譜が出来るかということ。学生時代に弾いた曲はシンフォニーでも結構暗譜していたりしますが(ベートーヴェンやドヴォルザーク)、大人になってからは記憶力が落ちてか、2年前にやったマーラーのシンフォニーなど、こんな曲だっけ?ということも多々あり・・・。暗譜対策ということで、必ず一日一度は通して音にすることに努めました。こんな努力をしたのは今回が初めてでした。

そしてもう二点目がブラームスをしっかりと勉強したことがなかったということです。でもこちらは私の師匠がとてもブラームスに造詣が深い荒川先生。毎年ブラームスにちなんだコンサートを行っているほどでして、今回のコンサートに向けて何度かレッスンにお伺いさせていただきました。

最後の三点目ですが、2017年の2月に肩の手術をしており、練習に肩が耐えられるかということと、リハビリ中で思うように肩がコントロールできない中での本番となることです。ただこちらは記事を書いている2018年3月でも状況は改善していいないため、今となっては気にせず挑戦して良かったかなと思うところです。

3ヶ月の練習は本当にギリギリで、本番の前の週でも練習が間に合っていない状況でした。その代わりといっては何ですが、練習が煮詰まる段階まで来ていないため本番前の数日、もっというと前日ですら本番に向けて明らかに改善ができる練習が出来ました。ウソのような話ですが、本番前日の深夜3時、つまり当日の明け方ですがこの時間の練習中に音色が変わったり気づいたことなどがあり、実際の本番に役立ちました。

また今回は妻がコンミスを努めたのですが、私がいつも弾いているのを聴いていることもあり、癖などもつかんで上手く合わせてくれるのに助けられました。不安なところは家で合わせてみたりなどが出来たので、そのあたりは心強いところもありました。

当日はリハから調子が良くてむしろ本番が心配になりましたが、本番では前奏が始まると・・・少し感動しました。とうとうコンチェルトを弾く日が来たのだと。オーケストラの音が高揚していくのにつれて、私の気持ちもどんどん高揚しました。

さすがにソロが始まるとやはり固くなってしまい、思った通りにならない部分もありましたが、一番の鬼門であるカデンツァもなんとか止まらず後半に入ったら少し気持ちも落ち着きました。1楽章の最後くらいからはリラックスして弾くことが出来ました。

特に今回は2楽章に一番のこだわりを持っていたのですが、オーボエのソロがとても素晴らしくて私自身のテンションも上がり、ソロに良い状態で入れたのも良かったです。

速い部分などはやはり肩の位置がキープ出来なくて苦しいボウイングになってしまうのですが、ゆったりとしたフレーズに来たら肩の位置を戻して3楽章の最後まで乗り切ることが出来ました。

本番中に貴重な機会を頂けたことに感謝する気持ちがこみ上げてきたりで、いろいろな想いの中で演奏するということもまた貴重な機会でありました。

弾き終えたらもっと感動するかなと思ったのですが、ホッとしたのが正直なところでした。一番の心配は暗譜が飛んでしまうことでしたから・・・。

今回久しぶりにブラームスと向き合いましたが、本当に良い勉強になりました。若い頃にソナタの3番を見ていただいたこともあったのですが、きっとその時はあまり理解できないまま本番を迎えてしまっていたような気がします。今回、最初に自分の感覚で弾いたまま荒川先生のところに持っていたのですが、全くブラームスになっていなかったことに気づかされました。長いフレーズ、小節のまたぎ方、リズム、拍節、全てといっていいくらい意識を変える必要がありました。ちなみに本番の数日前にもレッスンを受けましたが、本番まで必死に悩み、練習し、当日に活かすことが出来ました。直前まで親身にご指導くださった荒川先生に感謝申し上げます。

当日の様子を複数のカメラで撮影することが出来ましたので、編集したものを限定公開ではありますがYoutubeに上げさせていただきました。

私の中では前例のない挑戦でしたが(肩のリハビリ中、3ヶ月で本番、初コンチェルトがブラームス、etc)、ご一緒したみなさま、機会をくださった主催者さま、ご来場いただいたみなさま、その他陰ながら支えてくださった方々、本当にありがとうございました。

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