BMW 116i(F20) インプレッション

毎年この時期はグンマーの季節、ということで130iの車検に群馬県の前橋市まで行って来ました。

外環道、関越道、北関東自動車道というルートで片道100km強になりますが、車を一旦預けて後日また取りに行くので2往復することになります。今回はどんな代車が出てくるかなと思ったらなんと、同じ1シリーズの新型(F20)の116iでした。去年の点検の時は旧型(E87)の116iだったのでこれは乗り比べが楽しみ。

BMW 116i(F20)
「代車の新型(F20)116i」

新型116iを間近で見ると、最初抵抗のあったフロントマスクも見慣れてくれば違和感なし。全体的に高級感が増した感じがしてむしろ好印象。今回ベースグレードだったそうですが、前回乗った旧型116iと較べても大分変わった感じがします。

運転席に乗り込むと、センターコンソールが大きい!同じ1シリーズとは思えない大きさで物もいろいろ置け、ドリンクホルダーもシフトレバーの向こう側になり取り出しやすくなりました。その他の内装も以前130iから旧型116iに乗り換えた時のようながっかり感をあまり感じず。もちろん本革電動シート、本革ステアリングなど質感は違いますが、ベースグレードでも安っぽくないのは立派です。この車はベースグレードといってもお高いのでこれくらいの高級感は欲しいところ。

シートに座るとシートポジションが低い?自分の130iはMスポーツの足回りで車高がベース車よりも落ちているはずですが、それよりも低く感じます。130iだといつももっと下がらないかなと電動のレバーを下に押してしまうのですが、この低さはちょっといいかも。

最初に戸惑ったのはATのシフトレバー。Pがボタン?横のボタン押しながら手前に引くといきなりDに入る?慣れれば良いのでしょうが、結局返却するまで常にシフトレバーを睨みながら操作してました。

ディーラーの方に一通り操作の説明を受けた後、帰宅しようとディーラーを出発したのですが、走り始めてすぐに旧型との違いに気づきました。何が違うってたくさんありすぎて・・とにかくいろいろ進化してます。

まずはエンジン。1.6Lの直4というのは同じですが、ターボが付いて115ps→136psになったとのこと。ただ乗った感じはそれ以上のパワーを感じました。旧型が115psなら新型は体感160psくらいに感じます。とにかく中速トルクが全く別物でこれには驚きました。高速での追い越し加速なども普通に乗る人であればほとんど不満を感じないくらい。旧型の時は高速で十分な加速をしたいときはブン回さなければなりませんでしたが、新型は少しシフトダウンして3000rpmも回っていれば十分なトルクがあるので、余裕感が違います。

フル加速もやはり旧型とは違い、データによると0-100km/h加速が10.8秒から8.5秒に進化したそうで。加速タイムが2割速いって、やっぱり体感パワーは5割増しくらいというのは間違いではないかもしれません。ちなみに旧116、新116、130のパワーは、115ps、136ps、265ps、0-100km/hの加速はそれぞれ10.8秒、8.5秒、6.1秒だそうです。新型の120iは170ps、7.5秒で、これはもう昔のテンロクスポーツ並(シビックSIRのVTECなど)ですね。

ATも6速から8速へと進化。こんなに段数合っても使い切れないのではと思ってしまったのですが、機械がやる分にはそんなこともないようで、むしろ100km/hで2000rpmを大幅に切る回転で巡航出来るのは燃費にかなり役立つはず。シフトもスムーズでなかなか優秀です。

シフトレバーの右側に走行モードの切り替えがあり、これがなかなか良い!ボタン操作で「エコプロ」「コンフォート」「スポーツ」と切り替えが出来るのですが、ATのシフトタイミングと共にエンジンのスロットルマップが変更されアクセルのレスポンスが変化するのです。試しにマニュアルモードにして8速固定の100km/h等速でモードを切り替えながらアクセルを開けたり閉じたりしてみましたが、アクセル開度に対するスロットルの開度がまるで違います。コンフォートでは自然に、エコプロでは穏やかに、スポーツではハイレスポンスに。これ欲しい!!!

というのも自分の130iはこんなスイッチがなく、Dレンジではまるでエコプロのような鈍いレスポンスでしか走れません。ATをスポーツモードやマニュアルモードにするとレスポンスがリニアになるのですが、さすがにスポーツモードでは高回転をキープしすぎるため、結局普段からこのエンジンマップのためにマニュアルモード固定で乗るはめになっています。こんなスイッチが130iにもあれば普通のDレンジでまともなスロットルレスポンスに設定できるのに。

この車にはアイドリングストップが付いていて、信号待ちでエンジンが止まります。止まるときは自然とスーッと落ち、ブレーキから足をあげるとブルンと始動します。最初はちょっと不安で、ディーラーの方も「感覚に合わなければこのスイッチでOFFに出来ます」と言われていたのですが、せっかくなのでずっとONのままにしてみました。でもそんなに違和感ありませんでした。ブレーキから足を上げて軽いクリープの後でアクセルに足を乗せるという普段通りの操作では特にもたつきもなかったです。違和感があるとすると指導の時の音と振動ですが、いやむしろ普通に発進しようとするときに瞬時に始動して違和感なく走れるという技術に驚きました。

ブレーキはBMW特有の敏感ブレーキ。軽い踏力で強い減速Gが立ち上がります。しかも自分の130iや旧116i以上。さすがにこれは敏感すぎやしないですかね。慣れれば良いのかもしれませんが。

ハンドリングですが、最初ちょっと違和感がありました。BMW特有のセンター付近の甘さがなく、一般道でもそうですが高速でもステアリングにクイックに反応しすぎる感じがあります。特に高速で横風が強かったためか、130iのビタっと路面に貼り付くような安定感に比べるとややふらふらしやすいかなと思いました。ただ他の国産車と比べると特にクイックということもないので慣れの範囲かもしれませんが、130iに戻った時の安心感、やっぱり130iの方が好きです。

悪いことばかりでもなく、手に伝わる路面のインフォメーションは旧型の116i、130iのどちらに対しても増えているようで、それは好印象でした。あまり試せませんでしたが、高速のジャンクションやインターチェンジのループで追い込んでいった時の姿勢はさすがで、アクセルやブレーキ、ステアリングに忠実に挙動が変化するあたりは絶妙です。大きなGが掛かっている時の接地性も旧型より良く、粘る足です。この116iでもそうですが、120iあたりでそのままサーキットを走ってもかなり楽しいのではと思います。

と、エンジンとATが大幅に進化し、足回りも良くなり、内装やスタイリングも高級感が出て言うことなし、というところなのですが、自宅からディーラーとの往復212km走ってディーラー前で満タンにするのに入れたガソリンが14.8L。燃費は14.2km/L。最初に完全に満タンかわからないし、高速がほとんどとはいえかなりいろいろ回したり遊んだりしていたことを考えると凄い燃費です。旧型よりパワーアップして燃費が2割向上というのは伊達じゃないですね。

旧型の116iはパワーが物足りない、120iもあまり代わり映えしない、かといって130iは極端すぎる(価格1.5倍、馬力2倍以上)、という微妙なラインナップでした。BMW乗るのにローパワーはいやだ、かといってギンギンのエンジンまではいらない、という層にぴったりなのが新型の116i、120iなのかなと思います。

BMW 130i(E87)
「自分の愛車130i」

じゃあ僕が130iから乗り換えたいかと言われると、全くそれはありません!あのエンジンのパワー、音、低回転でも後ろから蹴飛ばされるようなトルクとレスポンス。燃費が悪くてもしばらくはこの130iに乗り続けていきたいと思います。そもそも300psオーバーのパルサーGTI-R、ランエボ7という車歴もあって130iのパワーでもちょっと物足りなさを感じている位なので。数年後、お金があったらですが気になるとするとM135iですかね・・。

まあでもそんな人は少数派だと思いますし、116iですら僕が昔乗っていたFFジェミニのHBロータスより動力性能で上回っているみたいですし(JT190ジェミニHBロータス1600cc、135ps、960kg、0-100km/h=8.8秒)、非力だと思う人はまずいないでしょう。いやBMWはホントいい車作りましたね。このF20モデルが1シリーズ最後のFRにならないことを切に願うばかりです。

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