K-5シリーズはボディ2台(K-5IIs、K-5)に対して現在は4本のレンズを所有していますが、インプレッションというほどまだ使っておらずまたレンズも使いこなしていないので、単なる感想を書きたいと思います。
<シグマ 18-250mm F3.5-6.3 DC MACRO HSM>
K-5IIsと一緒に最初に購入したレンズです。その前のニコンD90の時にはタムロンの18-270mmを使っていたので、それとの置き換えのイメージです。
ただ、タムロンのものは新しい超音波モーターのB008ではなく古いレンズ内モーターなしのB003(AF18-270mm F/3.5-6.3 DiII VC LD)だったので、それに比べるとシグマの18-250はなんてコンパクトなんだと思いました。しかも超音波モーターHSMは静かでフォーカス速度もそこそこ速く、それだけでも驚きました。HSMは発表会など静かなシーンでの撮影に重宝します。
写りもタムロンB003とはずいぶん違いました。フォーカスの精度が高くなったこともありますが、全体的にシャープな写りですしフォーカスのミスも少ないため写真の歩留まりが向上しました。広角端から望遠端までは18-250mmで35mm換算では27mm-375mmとかなりワイドですが、どの焦点距離でも比較的良い写りでした。比較するなら新型のB008でないと不公平でしょうが、B003と比べたらほとんどの点で格段に良いと感じられる欠点のないレンズでした。一本だけ持って旅行に行くならこれですね。人物を撮るときは開放、シャープな絵がほしい時は広角端でF8、望遠端でF11が良いようでした。ちょっと暗いですが・・。
ただ唯一の欠点、これはペンタックスとソニー向けモデルだけですがレンズ内に手ぶれ補正がないことです。K-5にはボディ内手ぶれ補正がありますが、タムロンのレンズ内補正VCと比べるとやはり物足りなさを感じます。というよりタムロンのVCが非常に優秀といえるかもしれません。200mm以上の望遠域では4段と言われるタムロンのVCに明らかに分があり、ペンタックスのボディ内手ぶれ補正SRは体感では2段程度とやや物足りません。さらにSRは効くまでにタイムラグがあるためにパッと構えてAFが合ってもまだSRが効いておらず手ぶれ写真になった、ということが何度かありました。
是非ペンタックス用も他マウント用と同じく手ぶれ補正を残してほしいものです。ボディ側の補正をその都度切る必要はありますが、タムロンのVCが時々恋しくなります。
<シグマ 17-50mm F2.8 EX DC HSM>
2本目に購入したレンズです。こちらもD90の時にタムロンの同じような17-50mmのF2.8通しのレンズであるB005NII(SP AF17-50mm F/2.8 XR Di II VC LD Aspherical [IF])を使ってたのでその置き換えです。こちらは新品(3万強)と中古(3万弱)の価格差がほとんどなかったので新品で購入しました。
こちらも超音波モーターに変わったので音の静かになりAFの速度もかなり速くなりました。といってもレンズが大きいためか瞬時にAFが合うような感じではありませんが。
AFについては前の記事でも書いた通り、最初は広角端が後ピンで望遠端が前ピンという状態でしたが、それでもD90の時のB005NIIよりは歩留まりもよいくらいでした。ピントがきちんと合った時のシャープさは先の18-250mmと比べても格段に上でした。シグマに持ち込んで調整してもらった後はピントずれもなくなり、開放でも特に望遠端はシャープでズーム全域でF4-5.6くらいで十分過ぎる解像度でした。解像度という点ではやわらかく写るタムロンとは真逆ともいえるシャープさで、逆に望遠端の開放でもシャープすぎて人物を撮るには向かないのが難しいところです。
手ぶれ補正はありませんが、開放F2.8から使えるので18-250に比べると気になりませんでした。ボディ内手ぶれ補正をきっちり効かせるように落ち着いて撮るようにすれば問題ありません。
室内メインで一本だけ持って行くなら迷わずこれですね。
<ペンタックス FA50mm F1.4>
続いて手に入れたのは35mmフィルム時代の標準レンズともいえる単焦点、FA50mm F1.4です。こちらもD90の時の50mm F1.4の単焦点「Ai AF Nikkor 50mm f/1.4D」の置き換えです。ニコンは中古で2万円くらいでしたが、さすがはペンタックス、こちらは1.5万円とお安く購入出来ました。
ニコンの50mm F1.4もそうでしたが、APS-Cでの換算75mmとやや使いづらい画角ではありますが、F1.4という明るさとボケにはちょうど良い焦点距離が上手く決まるとすごく良い雰囲気の絵になるので好きなレンズです。
ニコンの時はボディのAF精度なのかレンズが悪かったのかAFが合わない時が多く、数度AFを合わせ直したり、一枚ごとにAFをし直して複数枚撮影する、などをしていましたがやはり使いにくくあまり使わなくなってしまっておりました。が、ペンタックスのFA50mm F1.4は驚くほどAFが速く正確で、ボディ内モーターなのでAFの動作音がうるさい以外は面白いようにAFが正確に決まります。先のシグマレンズ2本よりも速くて精度も高いです。ニコンもAFの動きは速かったもののAFが迷うので結果的に速くは感じませんでしたが、FA50mmはビシッと決まるのでとても速く感じます。
写りですが、開放F1.4ではかなり甘い描写でボケも大きくピント面ですらソフトですし、パープルフリンジも盛大に出ます。しかしF2.0に絞るとそれらがかなり収まり、ポートレートなどでソフトに人物を撮るのに良い感じになり、F2.8まで絞るとシャープさとボケが良いバランス、F4.0では非常にシャープな絵、という具合にいろいろな表情を見せる面白いレンズです。
F1.4という明るさは暗い場面で非常に強く、暗がりでフラッシュ無しで記念写真を撮る機会があったのですが、K-5IIsの高感度性能も相まってISO5000のF1.4の1/10sで撮った写真が思った以上にきちんと写っていて、こんな暗さでも綺麗に写るんだと撮られた方々が驚いていました。5人横並びだったのですが、ピント面が薄いためやや一歩前に出ていた方の顔がややボケてしまったのが残念でしたが。写真を撮る前には「えー、ペンタックス?カメラはキヤノンじゃないの?」なんて言っている方もいましたが、このK-5とFA50mmの組み合わせが、写真を見ればひと目で、尋常でない高感度性能だと見抜いたことでしょう。
個人的にはF2.8以下の領域で開放気味に絞りを調節して撮った写真が好きです。古い設計で収差も残っているためかかえって色乗りも良く感じますし、雰囲気の良い写真が作りやすいです。
後述のAPS-C用DA35mmの方が洗練されたバランスのとれた優等生で、フルサイズ用のFA50mmは兄貴分とはいえ設計も古くやや使いにくい面もあります。が、やはりF1.4という明るさとそこから生み出される味は捨てがたく、その辺はさすがはお兄様です。
このFA50mm F1.4は所有している中で一番のお気に入りレンズです。小さいですし、他のレンズを付けて出かけるときも必ず忍ばせています。良いレンズが出て入れ替えなどをすることがあったとしても、このレンズだけは手元に残しておくことになりそうです。
<ペンタックス DA 35mm F2.4 AL>
しばらくは上記の3本でほぼD90の時と同じラインナップで使っていたのですが、K-5のボディを買い足す時に使いやすい単焦点があってもいいかなということで購入しました。
主に妻に使ってもらうのですが、FA50mmの換算75mmはさすがに画角的に使いにくいですし、かといって持っているズームは高倍率と大口径なので重いです。このDA35mmなら換算50mmでちょっと使いにくいけどボケでは有利だし、F2.4は開放から使えるし、軽くてフォーカスも速く正確、しかも安い、ということで購入しました。一眼初心者にもピッタリですし、私も使いたいですし。
実際にK-5に付けて感じるのは、いや付ける前から感じるのはその軽さ。多分レンズがあってもなくてもわからないくらいの重さで、実に取り回しが良いです。
実際にパシャパシャ撮ってみるとフォーカスも瞬時に決まり正確で、おまけに絵も開放からシャープ。ボケ量をコントロールする以外で「とりあえずちょっと絞って・・」のようなものが不要です。あまりに小気味良いので手ぶれ補正が効く前に撮ってしまうのを気をつけなければいけないくらいです。
K-5との相性も良いようですが、なぜかK-5IIsではFA50の方が相性が良いのかDA35よりもさらにAFの迷いがより少なくなるのが不思議でした。単焦点はK-5IIsはFA50、K-5はDA35で決まりのようです(うちの個体に限ると思いますが)。
F2.4でボケも程よく出るし、ちょっと絞るだけでシャープ、軽くてAFも速くて正確、画角もまずまず使いやすく、しかも安い。K-5持ち、というよりペンタックスユーザーなら手元に1本は置いておきたいレンズですね。
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