Viva La Musicaの肩当て Diamond

ヴァイオリン

最近登場した肩当て、Viva La MusicaのDiamondがとても評判が良いようです。色は本体の色がライトとダーク、脚の色がホワイトとブラックとそれぞれ組み合わせを選べるようなので、早速ライト&ホワイトとダーク&ブラックの組み合わせで計2個購入しました。

Viva La Musica Diamond

Diamondの特徴ですが、軽くて薄いメイプル材、脚の取り付け部分のスイング機能、というところでしょうか。

まずは本体の見た目。形状も加工も綺麗で、トラ杢も美しいです。こういう肩当てはあまりなかったように思います。Mach Oneはやはり薄くて軽いメイプルですが、見た目の美しさはDiamondの方がずっと上だと感じます。同じく木製の肩当てではKUNのBravo、Viva La MusicaのProfessionalなどがありますが、どちらも重くごついです。

Viva La Musica Diamond

脚は折りたたみ式となっていて、狭いケースでも収納しやすいかなと思いますが、華奢なのと新しいためか動きが固めなので伸ばしたまましまえるのであればそのまま使うことになりそうです。金具が多少しなりそうな形になっているのは本体がメイプルのためほとんどしならないと思われるからでしょうか。

Viva La Musica Diamond

そして気になるのがスイング部分。脚の位置とパッドの位置をオフセット出来るというのはViva Compactもそうでしたが画期的なアイデアだと思います。パッドの位置を好みの位置に動かしても脚は楽器から外れにくい最も楽器のワイドな部分にかけることが出来ます。Viva Compactはアイデアは良かったのですがスイング周りが全てプラスチックだったためしなりでスイングが動きやすかったことと、そもそも本体の剛性が低すぎて、あごを軽く載せただだけで本体がしなってゆるんで外れてしまう、しかも音も良くないという残念なモデルでした。このDiamondはどうでしょうか。

ネジを緩めると金具が360度スイングできますが、スイングに15度刻みでカチカチとクリック感があるためネジを締め付けた時にはしっかり固定されそうです。少なくとも簡単にスイング部分が動くことはなさそうです。また、本体がそれなりに剛性感が高く、しなるのは金具部分だけで楽器から外れるほど開くこともないので演奏中も非常に外れにくい感じです。加えて、金具のしなりがまるでスプリングのように働き、楽器を挟む力が程良いため、外れないように装着してもそれほど楽器を締め付けることがないので音の点でも良さそうです。

スイング機能は0度、15度、30度、45度で使え、推奨は30度だそうなので、まずその30度でセットして楽器に付けてみました。脚の位置は左右平行で楽器の一番太い位置に合わせたのですが、ちょっと私にはパッドが手前過ぎました。そもそも本体自体がエルゴノミクスデザイン的な形状でパッドが手前気味にカーブしているので、普通の肩当てよりも気持ち深めで良さそうでした。

ちなみに私は普段はやや斜めがけをするので、脚は真横でスイング角度を左右非対称で斜めにしようとしたところ、説明書に「左右の角度を合わせて使うように」との注意書きがありました。

試しに左0度右45度という非対称で試すと・・・。
asymmetry

脚が平行になりません。
asymmetry

左右を同じ角度にすると・・・。
symmetry"

ちゃんと平行に。
symmetry"

ああ、思い出しました、20年近く前、Viva La MusicaのProfessionalを使った時に左右の脚が楽器のフチに平行にならずに楽器から外れやすくて悩まされたんでした。当然スイングなんてなくて固定式なのでどうにもならず、無理やり金具を手で曲げようとしてベースの木がボキッと。2度とProfessionalは使うまいと思った次第です。今売っているモデルは改良されているかもしれませんが、固いし外れるしフィット感も悪いしで未だに良い印象がありません。

脱線しましたが、脚を平行に保つには左右のスイングを同じ角度にしなければならないようです。不便だなと最初は思いましたが、良く考えて見れば斜めがけしたければ片方を深く片方を浅くすれば良いだけで、向かい合う脚同士は一番幅の広いところにかかっていればいいわけです。真横が時計の3時、9時だとしたら、2時、8時、あるいは4時、10時にすれば良いわけで。浅い深いはスイングで調節、左右もネジの取り付け穴1つ分ですが動かせますし、まあ不便はなさそうです。

斜めがけなども試しましたが、パッドの形状からか私の場合はこちらのように左右平行でスイングも15度の浅い角度に落ち着きました。

Viva La Musica Diamond - 15 degrees

Viva La Musica Diamond - 15 degrees

スイング0度でもパッドが手前にオフセットしているので、推奨の30度というのは脚を左右平行の3時9時にかけた場合、多くの方にとってパッドが手前すぎるのではと思います。

調整の話ばかりになりましたが、付け心地はなかなか良いです。Mach Oneのように斬新すぎることも、KUNのように保守的すぎることもなく、適度に体に合わせてフィットしてくれる形状に感じます。また、本体の剛性がしっかりしつつも脚の部分で適度にしなるため、楽器に付けた時やあごでちょっと挟んだ時に肩当て本体のカーブが保たれているのも良いです。今まではやわらかすぎて本体がしなって腰砕けになって外れてしまうか、ガチガチで思ったところに装着できないとか当たりが固すぎるとか、なかなかちょうど良いものがありませんでした。Diamondは楽器に対しても奏者に対してもフィット感が良いです。

ただ、フィット感については肩当てを換えると新鮮さというものが実際以上に印象を良く感じさせたりもするので、しばらく使ってみないと判断は難しいかもしれません。ですが、ファーストインプレッションとしては良い感じです。

そして音。これが一番驚いたのですが、今まで使った肩当てで一番音が良かったです。音が良いというと主観になりますが、肩当てによるミュート効果とでもいいましょうか、どれだけ楽器の振動を阻害しないかという点でこのDiamondは非常に優れているように感じました。今まではその点ではMach Oneが最も良かったのですが、Diamondに付け替えると明らかに鳴りが良くなり、Mach Oneに戻すとマットな音に感じるほどです。離れて聞いてもその差がわかるほどかは確かめていませんが、耳元では少なくともMach Oneより良く感じました。

音が良いのは重さのせいなのか?ということで、先日の記事にもありますが重さを量ってみました。

Viva La Musica Diamond - Light

Viva La Musica Diamond - dark

思ったほどは軽くないですが、容積からか見た目からか軽く感じるのが不思議です。LightとDarkの差は誤差でしょう。

ということで良いことずくめであまり欠点は見当たらないのですが、気になるとすると脚のゴムの質です。KUNは昔は金属のフレームに黄色い天然ゴムのチューブを使っていて、だんだん劣化するとカチカチのボロボロになって楽器から滑ってしまいましたが、脚ゴムのみをシリコンチューブに換えるなどすると低コストで比較的簡単に付け替えも出来ました。対して昔のViva La Musicaの脚は金属を黒いゴムで覆った一体型となっているためゴムのみの交換ができず、さらに劣化する早さ、および劣化した時のカチカチツルツル度合いがKUN以上で、それもまた気に入らない点でした。今のViva La Musicaの脚ゴムの質がどうなっているかわからないのですが、ゴムだけの交換が出来ないので長持ちしてくれると良いなというところです。最近のKUNも一体型になったので同じでですけどね。

それから脚のネジ径&ピッチがKUNと違うため、KUNやMach Oneの脚と入れ替えて使うことが出来ません。KUNとMach Oneは相互に入れ替えが出来るのでいろいろ幅が広がって良かったのですが、Viva La Musicaはそれらと脚の使い回しが出来ないという点は残念です。

とはいえ単体で使う限りは、今まで使った中ではより多くの方にフィットし、音も良く、調整範囲も広く、極端に高価でもないという点で一番良いかなと思います。特に音の良さと装着の安定度は特筆すべきものでした。

ちなみにこの肩当てを使う上での注意点。

1.楽器の一番幅の広いところに装着する
2.脚の幅を調節して楽器を締め付けないようにする
3.スイングの角度は左右同一にする

1と2は関連するものですが、スイングの角度や脚の長さを変えると左右の足の幅が変わります。普通の肩当てでは脚の長さを変えても足幅は変わりませんが、Diamondは脚のねじ軸が楽器に対して垂直でないため脚をクルクル回して高さを変えると足幅が変化するのが少し面倒です。脚の取り付け穴の位置を変えるなどして幅を調節し、楽器の一番幅のあるところ(円の対角)に装着した時に楽器を締め付けないようにします。楽器を締め付けるようなキツめの状態だとどんな肩当てでも楽器が鳴らなくなります。実際キツめにするとBonmusicaより鳴らなくなりました(笑)。せっかく外れにくい位置に装着出来るのですから、外れない範囲でなるべくゆるく装着されるように脚の幅を調節しましょう。

また、下の写真のようにKUNなど他の肩当てでよくやりますが、パッドを好みの位置に持ってくるために浅く装着すると、

KUN Bravo

KUN Bravo

外れにくいようにキツめに付けてしまいますからこの肩当ての最大のメリットが活かされません。パッドの位置は脚のスイングを使って調節しましょう。パッド自体にオフセットがあるため15度でも同じような位置にパッドが来ます。

Viva La Musica Diamond - 15 degrees

なお左右の角度を合わせないと横から見た時に脚の左右の平行が出ず、脚の前や後ろが楽器のフチにうまくかかりません。KUNなどで多い下の写真のようにパッドを斜めにしたい時は、

KUN Bravo angled

Diamondでは脚の位置を「右を奥、左を手前」など円の対角になるようにずらしてみましょう。パッドがほぼ同じ位置に来ているのに、脚はちゃんと対角にかかっています。

Viva La Musica Diamond angled

ちなみに左右の脚を平行に装着した場合のスイングによるパッド位置の変化も見てみましょう。

こちらが、脚のスイング0度。

Viva La Musica Diamond - 0 degrees

Viva La Musica Diamond - 0 degrees

こちらが先の写真と同じですが、15度。

Viva La Musica Diamond - 15 degrees

Viva La Musica Diamond - 15 degrees

こちらが45度です(30度は撮り忘れたので想像して下さい)。思った以上に大きく動きます。安定が悪いのでペンを挟んで写真を撮ってます。

Viva La Musica Diamond - 45 degrees

Viva La Musica Diamond - 45 degrees

スイングのクリックですが、取り付けの精度がやや甘いためか今まで見たどの個体も左右の角度が微妙にずれていて、左右ピッタリににはなりませんでした。でも1クリック分以内ですし楽器のフチに対する平行も誤差で済みそうなので神経質になる必要はなさそうです。神経質な方は返品交換を求めそうですが、むしろ左右ちょっとだけずらすことが出来る余地がある、と考えても良いかもしれません。

この肩当ては好みのセッティングにするのに少々頭を使いますが、付属している英語の簡単な説明ではなかなかそこまで読み取れないかもしれません。そもそも読まない方のほうが多いような気もしますが・・。

またしばらく使ってみて何かわかったら書きたいと思います。

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