Crowsonのあご当てとチタン金具その2

ヴァイオリン

IveにはCrowsonのRuggeriタイプのあご当てに裏掘り加工とチタン金具を取り付けたものを使っており満足しておりますが、もう一台の陳昌鉉さんの楽器には私に合うあご当てがなく、あるものでマシなVargaタイプというものを付けておりました。ミニ発表会でカルテットを弾くのにバランスの良い陳さんの楽器を弾き込んでいたところ、あごは疲れ首も痛くなってしまいました。

Varga

Crowsonは高いので、ずいぶん前からなんとかもう少し安く手に入る同じような形状のあご当てを探しておりましたがなかなか見つかりませんでした。本当はBogaro&ClementeあたりでCrowsonのRuggeriと同じ形状でフェルナンブーコで作ってくれるととても嬉しいのですが!!

なんてことを考えながら(&生徒に愚痴りながら)早数年。ないものねだりをしてもしょうがないですし、CrowsonのRuggeriの使い心地はここ十数年他に代わるものはありませんでした。であれば・・・。

ということで同じCrowsonのRuggeriタイプを購入しました。正確には製造元であるAlexander AccessoriesのRuggeriタイプと呼ぶべきでしょうか。もちろん材料はツゲ。ここは譲れません。茶色フィッティング命ですので。

Crowson Ruggeri Hill Titanium

ただ全く同じでは面白くないのと、いずれ軽量化したくなるというのもわかっていたので、オプションのチタン金具で作ってもらいました。形状はCrowson標準のヒル型。価格は5割増しでしたが。

実際に届いて手にしてみて驚いたのがチタン金具が鏡面仕上げだったこと。普通チタンというと前の金具もそうでしたし、昔使っていた腕時計もそうだったのですが、マットフィニッシュのイメージ。なのにこれはシルバーと同じくピカピカ光沢の鏡面仕上げではありませんか。金具ごときで5割増しとは、なんて思いましたがこれ見たら納得するしかありません。

Crowson Ruggeri Hill Titanium

あご当てのツゲもピカピカ。以前から使っているものは落ち着いた渋い風合いなので10年以上の使用で見た目がこんなに変わるのかと思ったのですが、当時の自分の記事を読む限り最初から落ち着いた風合いだったようです。正直、見た目は以前のものの方が良いですね。ただ、10年とはいえ毎日肌が触れる部分なのであご当てもそれなりに経年変化もあり、それが味になっているのもあると思います。新作とオールドの雰囲気の違い、なんて言っても良いのかもしれません。ま、言い過ぎですが(笑)。

で、取り付けようと楽器に合わせてからタイコをピンで回そうとして・・・ピンが入らない。微妙に穴が小さいようです。普段使っている6角レンチ風のあご当てレンチは使えず、他に持っていた細めのレンチで取り付けました。

そして構えてみると・・これだ、これしかない! スッと楽器が体に馴染み、今までなんとなくフィットせずあまり長時間弾きたくなかった楽器が、ずっと弾いていたい楽器に生まれ変わりました。

まだコルクを削って調整中ですが、弾いてみると楽器の鳴りがシルバー金具とはだいぶ違うように感じました。チタンは軽さだけじゃなくて音響特性的にも有利なのかもしれません。だからチタンのテールピースや何やらが出ているわけですね。楽器は美しくなければならないという私としてはテールピースやあご当ては木以外考えられませんが。

重さも量ってみました。

Crowson Ruggeri Hill Titanium

56gです。個体差もあるのでなんとも言えませんが、標準のシルバー金具のモデルがオフィシャル表記も私の以前のも62gだったので確実に軽くはなっているようです。

以前外したCrowsonの純正シルバー金具は22gとかなり重いですが、そうすると計算上だとチタン金具は16g?

ということで金具全ては外せませんが量ってみました。タイコ部分以下を外してシルバーと比較。

まずはシルバー、12.9g。

Silver

対するチタンは7.1g。

Titanium

形状がほぼ一緒なので重量比率も一緒と考えれば、先日量ったシルバー金具がトータル22.3g(ネジ除く)なので、22.3g x 7.1g / 12.9g = 12.27・・。チタン金具はほぼ12.3gと推測出来ます。

形状とサイズが同じなので極端には軽くないようです。本来チタンは強度を活かして薄く小さく作ることで軽さを出していますからね。Otto Tempelの金具などはネジが細く通常の金具と下穴を流用できないという代わりに、その分タイコを含む金具全体が細身になっていてさらなる軽さを実現しています。22.3g→12.3gのために価格5割増しを高いとみるか安いとみるか・・。いいんです、Crowsonの美しいHill型金具がずっとピカピカのまま使えるんですから。

とはいえ軽量化は思ったほどでないのでやはりあご当て本体を少し削ってトータル50gくらいまで落としてもらおうかな・・。

ちなみにCrowsonのツゲは他のメーカーのものに比べて密度が高くて重いため、私の楽器のように軽いパーツの相性が良い場合はストック状態のCrowsonに換えると鳴りが落ち、音も暗くなります。ですが形はCrowsonのRuggeriが好きなので、その形を活かしつつできるだけ音響的にOtto Tempelのような軽量な状態に近づけるために裏掘りやチタン金具への交換を行っています。私の音の好みが明るくブリリアント方向というのもあります。

ですのでこれを読んでCrowsonの裏掘りあるいはチタン金具への交換を検討する方もいらっしゃるかもしれませんが、必ずしも軽い方向がどの楽器にも良い結果を生むとは限りません。特に、他のツゲからCrowsonのツゲのあご当てに換えて楽器が鳴るようになった場合はその重さがプラスに効いている可能性が高いですから、安易に裏掘りやチタン金具への交換はやめたほうが良いように思います。深い音、落ち着いた音、やわらかい音が好みの場合も同様におすすめしません。

ということでCrowsonのチタン金具付きを使っておりますが、体にフィットし音も良く、大変満足しています。チタンの耐腐食性を考えるとむしろ一番の喜びはこの後ずっと金具がピカピカであることでしょうか。

Crowson Ruggeri Hill Titanium

Crowson Ruggeri Hill Titanium

Crowson Ruggeri Hill Titanium

現状で満足してしまったので、とりあえずRuggeriタイプのフェルナンブーコの夢は当面おあずけになりそうです。

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