ヴァイオリンケースの重さを量ってみた その2

ヴァイオリン

以前、ヴァイオリンケースの重さを量ってみたという記事を書きましたが、それから5年経ち様々なケースに出会いましたのでそれらの重さを再び量ってみたいと思います。

その前に一応復習。

<Bam Hightech Oblong with small pocket>
公称2.3kg、実測2.4kg、ストラップ2本付き2.8kg。軽量ケースとしては重すぎますね。

<Bobelock double Violin case Suspention Velvet>
実測4.6kg、ストラップ2本付き5.0kg。かなりヘビーですが、ダブルケースとしては標準的。

<Gewa Oblong 試作品>
実測ストラップ1本付き3.6kg。20年位前の木のケースでしっかりはしていましたが重かったです。

<Gewa Jaegar Linea Nova>
実測ストラップ1本付き3.7kg。クロコダイルの豪華なケースですが、重すぎてストラップの台座が破損しました。

さてここからが今回の計量分です。

<メーカー不明 中国製軽量ケース>

メーカー不明のケース。発泡素材で軽量ですが作りは・・・。持った感じはかなり軽く感じます。
メーカー不明 中国製軽量ケース
実測はストラップなしで2.09kg。ストラップは1本しかついてませんが軽いもので(安っぽい・・)、ストラップ付きで2.13kg。

<Gewa Idea 1.8 Carbon fiber>

Gewa社のカーボン製薄型ケース。かつてのJaegerと同じようなシェイプで、コーナーには丸みがあり薄くて角ケースとしては抱えやすいです。100%カーボンの1.8、80%カーボンの2.0、グラスファイバーの2.3など様々なモデルがあり、それぞれ重さを示しているそうです。こちらはその最上級グレードの1.8。
Gewa Idea 1.8 Carbon fiber
公称1.8kgに対し、ショルダーストラップなしで実測2.04kg。240gサバ読んでますね。ちなみにストラップが一本186gと非常に重く、ストラップ2本装着では2.42kg。ケースはまずまず軽いですがストラップの重さで台無しです。

<Gewa Idea 2.3 Carbon fiber>

こちらはグラスファイバーの2.3。重くなりますが、安価でカラーバリエーションも豊かです。
Gewa Idea 2.3 Carbon fiber
公称2.3kgに対して、実測2.65kg。こちらは350gサバ読んでますね。ストラップ2本つけると3.02kg。3kg超えでは軽量ケースとは呼べません。1.8もそうですがストラップが重すぎるので軽いものに変えたほうが良いかもしれません。

<Shimokura Marcato>

下倉バイオリンさんオリジナルのMARCATO。こちらは生徒さんのケースですが、お渡しする前に重さを量ってみました。こちらのケース、カーボン50%、グラスファイバー50%、という複合材だそうですが、色も綺麗でデザインもよく、軽さと値段のバランスが素晴らしいです。
Shimokura Marcato
公称1.5kgに対し、実測1.57kg。サバ読み70gとこちらも許容範囲です。ストラップもまあ軽い方ですが115gあります。ストラップ2本付きで1.8kg。これはかなり軽いと言えます。おそらBAM Formeと比べてもトータルでは軽いのではと思います。BAMのFormeはストラップが重いです・・・。

<Shimokura Marcato(旧型)>

別の生徒さんの持っていた、2年前くらいに購入したというMARCATOの旧モデル。デザインは今のと違い分厚く、ハンドルの後ろがシェイプしていて、どことなくBAMのFORMEの雰囲気が・・・。生徒さんが重いというので量ってみました。
Shimokura Marcato
公称値はわかりませんが、実測1.89kg。ストラップ2本込みで2.12kg。これでもヴァイオリンケースとしては軽い方ですね。BAMのFORMEよりは重いかな(笑)。これと比べると現行品はずいぶん軽くなりましたね。

<Range Carbon Fiber (Face Down)>

生産中止となってしまって久しい、カーボンファイバーの専門メーカーの作った日本製カーボンケース、レンゲ。その強度は折り紙つきで、ケースを開けた状態でふたや本体をねじっても全くたわみません。先日車の電動シートに挟まれてもなんとか持ちこたえましたが、他のケースなら確実に楽器まで壊れていたと思われます。
Range Carbon Fiber (Face Down)
公称2.6kgに対して、実測2.69kg。サバ読みは90gなので許容範囲です。ストラップ54gと軽く、2本付けた状態でも2.8kg。軽いとは言えませんが強度を考えたら立派です。

<Range Carbon Fiber (Face Up)>

同じくレンゲのフェイスアップ。楽器の顔がケースを開けた時にこちらを向きます。先のものはフェイスダウンで向こうを向きます。楽器の出し入れはこちらの方がし易いですが、ニスへの接触はフェイスダウンの方が少ないので好みが分かれそうです。
Range Carbon Fiber (Face Upn)
公称2.55kgに対し、実測2.64kg。こちらもサバ読み90gです。ストラップ2本付きで2.75kg。このストラップの軽さはなかなか良いですね。バネ下重量の軽いホイールみたいで取り回しも良いです。

レンゲのフェイスダウンとフェイスアップを並べてみました。左がフェイスダウン、右がフェイスアップです。
Range Carbon Fiber
Range Carbon Fiber

といった具合でいろいろ量ってみたのですが、2点ほど気になったことがありました。

1点目は表記の重量と実測値の差。1.8kgと書いてあるのであれば許されるのは0.1kg単位の誤差の1.899kgまでだと思うのですが、2.04kgというのは少々酷いのではと思います。GEWAにかぎらず他のメーカーでもそうですが。その点、日本メーカーのレンゲ、下倉さんのものは正確で好感が持てました。カタログ値と実測値が違うというのは昔の車の馬力競争を思い出しますね。

それから、ストラップの重さ。軽いものと重いものでは54gと186g、2本分で108gと372gで差は264gとなります。軽いケースほどストラップの重さは大きなものとなりますが、せっかくg単位でケースを軽量化してもストラップが重いのでは台無しです。BAMやGEWAの丈夫なストラップもゴージャスな重めのケースには良いですが、軽量ケースには重すぎます。メーカーにはケースのタイプに合わせてストラップを作って欲しいですが、まあ自分で軽そうなストラップに換えるのも良いかもしれません。

また新しいケースが入りましたら量ってみたいと思います。

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