楽器の駒&魂柱調整に挑戦 駒選び編

ヴァイオリン

<Marcello Ive>

2013年より使っている自分の楽器です。2004年製作なので2014年現在でちょうど10歳です。

購入してから駒と魂柱にいろいろ手をかけました。まずは駒から。カッコ内は脚部の駒厚です。

歴代の駒たち
「歴代の駒たち」

写真左より、最初付いていたIveオリジナル?(4.4mm)→オーベルトデラックス(4.4mm)→やや古い駒(4.7mm)→古い駒(3.7mm)

<Iveオリジナル?(4.4mm)>

Iveオリジナル?

まずはIveオリジナルと思われる駒。なかなか良い材料に見えますし、木肌感やはじいたり落としたりした時の音も良好です。少し薄め(4.4mm)で大きさもやや小ぶりです。音が良いかどうかは最初の駒で比較対象がないのでなんともいえませんでしたが、後でいろいろな駒と比較する限り良い駒に思います。最初カーブが少々きつかったのですが、A線D線の溝が深くなってきていたので周りを下げて弦が顔を出すように加工をしてもらいました。E線もパーチメントが切れていたので貼りなおしをしてもらいました。ちなみにこの駒は通常とは逆に、縦に流れる縞模様がこの写真に写っている駒背面側ではなく、表側(指板側)に出ています。そういう考え方もあるそうです。

<オーベルトデラックス(4.4mm)>

オーベルトデラックス

次はオーベルトのデラックス。Iveオリジナル駒の代替で作ってもらったものですが、オーベルトのデラックスは普及品の駒としてはデスピオの三ツ星と並んで最高級グレードになります。厚みはほぼ同じで削り方はかなり異なるものの、はじいた時の音や実際に楽器に立てて弾いた音はオリジナルと違いがわからないほど良く似ていました。音量、音質、音色すべてが瓜二つで驚きました。ちなみにオリジナルのものと比べるとサイズや肉抜きもそうですが、足元からトップにかけての厚みのカーブも少し異なります。脚元とトップの厚みはほぼ同じですが、中間部はオリジナルの方が厚く、刀などでいうハマグリに近くなります。なお見た目の風格と若干の音の締まりを良くするためオイルで仕上げてもらっています。

<やや古い駒(4.7mm→4.2mm)>

やや古い駒

その次はやや古い駒。30~40年は経っているとのことです。厚めの駒で、脚部で4.7mm、トップも1.7mmくらいありました。肉抜きも少なめで骨太なイメージです。弾いてみると非常に力強さがあり弦のテンションが上がったように感じました。G線などは非常にパワフルです。ただ、音質がマットな方向にいき高音域の抜けが悪く音量も落ちました。少し使ったのですがあまり好みでなかったので使わなくなってしまったのですが、その後厚みを4.2mmまで落としてもらい、肉抜きも軽くしてもらいました。この写真は加工後のものです。材料はなかなか良いもののようです。が、高音の伸びで後述の駒にかないませんでした。

<かなり古い駒(3.7mm)>

かなり古い駒

最後はかなり古い駒。もし本当であれば100年前の材料だそうです。こちらは非常に薄い駒で、脚部でなんと3.7mm。以前陳昌鉉さんの楽器につけていた駒ですが、薄すぎたということで交換してもらった時に手元に置いていたものです。木肌感や落とした時の音もとても良いです。楽器が違うのでまず合わないかと思ったらなぜかアーチがピタリ。薄すぎるし冗談のつもりで立てて弾いてみたら、それまでの楽器のくもりが嘘のように抜けの良い音になり、高音の伸びが素晴らしい。低音も少し細いけど元々下のパワーが有り余ってたのでむしろちょうど良いくらい。薄い駒だしどうせそば鳴りかと思ったらホールでの音の通りも素晴らしく良く、いろいろびっくり。

少し神経質な感じもありますが音が素晴らしいので、以来愛用しています。薄いので取り扱いに気を遣うし、どの楽器にも合う駒だとは思いませんがなぜかIveには合っているようです。ちなみに肉抜きは控えめで足の甲も厚めです。染めてないのに(削っても同じ色)非常に濃い色をしています。この色は謎ですが、音の良さへの何らかの秘密がありそうです。生前に伺った時、硝酸で染めるのも試したけど良くないのでやってない、とのことでした。

かなり古い駒

その後、前の駒に戻したりしていろいろ試しましたが最後の3.7mmの駒が良いのは変わりませんでした。魂柱との組み合わせで他の駒の方が相性が良くなる可能性もありますが、現時点ではベストです。3.7mmしかないオールド材、恐るべし。。

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