リヒャルト・シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」

ヴァイオリン

5/5(日)は杉並公会堂にて、モーニングフィルの第9回演奏会に出演して来ました。

杉並公会堂"
「杉並公会堂」

今回はリヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」のソロを弾くという大役を頂いたのですが、いやホント難しかったです。

当日のプログラムはこちら。


R.シュトラウス 「ウィーンフィルのためのファンファーレ」
        「13管楽器のためのセレナード作品7」

レスピーギ 交響詩「ローマの松」

R.シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」
        (ヴァイオリン独奏:藤田将也)

指揮: 酒井敦

今回ばかりはソロの内容が内容だけにかなり前から準備を始めたのですが、それでも大変でした。

ソロパートの難易度もよく楽曲解説などでは「超絶技巧」と評されているとおり、速いパッセージやスケール、重音の連続など、難所だらけでした。速いパッセージなどでは一度弾けるようになってもしばらくすると弾けなくなってゆっくりからさらう、などを何度も繰り返しました。

リハ前 さらってるフリ"
「リハーサル前(さらってるフリ)」

重音も聴いている分にはバッハのような重音なのですが、弾いてみるとなんともまあ面倒くさい指の入れ替えなどが多くて、まんまイザイの無伴奏を弾いているみたいでした。3重音も速すぎるので真ん中の弦を潰して3弦同時に鳴らしながらデタッシュとか。で、重音が終わるとすごく繊細なフレーズを弾いたり。

という技術的にもそうなのですが、ほぼ内容的にカデンツァとなるこのパートをTuttiからいきなり入るというのがなんともメンタル的に大変でした。突然自分一人になるあの緊張感といったら・・・震えます。

数日前から当日のステージをイメージしては震えてしまうくらいでした。当日も朝から楽器を出して10分弾いてはため息をつき、また弾いては・・・の連続でした。こんな経験は15年位前に行ったリサイタル以来です。

当日のステージ上では英雄の生涯の2曲めがはじまったあたりで「今日の演奏が自分の最期の演奏かもしれない」と自分を奮い立たせて臨みました。不慮の事故、病気、明日何があるかわからないわけですし、次はないと思って弾きました。まあ本当にないと困りますが(笑)。

終曲で自分のソロが終わり、最後の和音が収束した時には、安心からか思わず笑みがこぼれてしまいました。本当に力が抜けました。この一ヶ月半、事故を避けるためにロードバイクの趣味も封印して臨みましたが、本当に最後の音まで辿りつけて良かったと思います。

リハーサル前の風景"
「リハーサル前の風景」

今回は新しい楽器で臨んだのですが(Marcello Ive)、期待通りにホールに良く音が届いてくれて、それもとても良かったです。Marcello Iveはこのために、までは言いませんが大ホールでも音が通ることを目的に手に入れた楽器で、偶然にフィットした陳昌鉉さんに昔作って頂いた駒と、息子さんである陳昌鼓さんの魂柱の組み合わせが、パワー、ピアニシモからフォルテまでのコントロール性、ヴィブラートや右手のニュアンスの付けやすさなどがぴったり組み合わさり、今回の演奏にとても助けになりました。

当日の録音はまだ聴いていないのですが、リハやお客さんからのコメントでとても良く音が通り、また音色も良かったとのことです。この楽器を薦めて下さったチャキ弦楽器さんにも感謝しております。

自分のソロ以外ですが、モーニングフィルに何度か(毎回に近いですが)お邪魔させて頂いている中でも一番良かったように感じました。管楽器のファンファーレ、アンサンブル、ローマの松、英雄の生涯と、たった数回の練習で仕上げたとは思えないくらい良くまとまっていましたし、オケも鳴っていたように感じました。

今回はこのような貴重な機会と頂けて本当に感謝しております。いつもモーニングフィルさんにはコンマスとして呼んでいただいているのですが、英雄の生涯のソロをお任せ頂けたことは本当に光栄で、期待に答えねば、いや答えなければならないとプレッシャーも大変なものでしたが、本当に良い経験をさせて頂きました。

このコンサートを企画して下さった主催者の方、共演者の方々、私のソロにお付き合い下さった指揮の酒井先生、私のソロにぴったりつけてくれた2ndトップを務めた私の妻、そして当日ご来場下さったお客様、本当にありがとうございました。

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