楽器の駒&魂柱調整に挑戦 魂柱選び編

ヴァイオリン

続いて魂柱編です。カッコ内は太さおよびオリジナルに対しての長さです。

最初付いていたIveオリジナル?(5.95mm)→少し古い魂柱(6.3mm、+1mm)→かなり古い魂柱(6.2mm、-0.5mm)

魂柱
「魂柱断面」

<Iveオリジナル?(5.95mm)・・写真左>

まず最初のオリジナルと思われるもの。裏板と色合いも同じだったので楽器と同じく10年前のものだと断定するのはやや乱暴でしょうか。そんなに古い材料ではなさそうですが木目が非常に綺麗に等間隔に詰まっていて、切り口もとても滑らか。Ive氏で間違いないかな?音はオリジナルの駒とセットでの状態ですが、繊細でクリアな音質です。やや高音が線が細い感じがありますが、良い魂柱だと思います。最近の基準としてはやや細いのが惜しいところです。長さももう少しあっても良さそうです。わりとすぐに換えてしまったのですが、また時期を見て使ってみようかというところです。

魂柱
「魂柱側面」

<少し古い魂柱(6.3mm、長さ+1mm)・・写真右>

次に少し古い魂柱。6.3mmとやや太くなり、長さも1mm程度長めです。材料は先のものと比べるとやややわらかめで木目も広く、細かな空洞もあり密度の高い材料ではなさそうです。触った感じもややぱさぱさしています。切断面を見ると木目にうねりがあり、ハーゼの部分を魂柱に使ったもののようです。

太さが増したせいか音も太く音量感も増しました。長さが1mm長く少し立てる位置がセンターに寄ったため、低音の力強さとタイト感が印象的です。先の魂柱よりもややマットで荒い音ですが、逆に言えば雑味が増えてマイルドで温かみのある音になりました。ハーゼの強さと木の密度の低さが相殺されているのでしょうか。駒は古い3.7mmの駒との相性がベストでした。魂柱位置は最初駒から5mmでちょうど良く、その状態でリヒャルト・シュトラウス「英雄の生涯」の長大なソロを弾きましたが、非常に良く音が通っていたそうです。

その後、1年くらい経ってやや鳴りがおとなしくなってきたのと、ブルッフの協奏曲などにあるようなダウンボウの激しい3和音を弾くと音が潰れるようになってきたので、工房に行き2.5mmの位置まで駒寄りに動かしてもらいました。すると今度は最初は良かったのですが、数日後には固くなりすぎて重くて弾きにくいという状態に。具体的には軽い弓圧でピアニッシモを出したり、あるいは普通の弓圧でボウスピードをかなり高くした時に弓が滑ってしまい、きちんと音を出そうとするとボウスピードを落として弓圧をかけるというヴィオラを鳴らすような感じになってしまって、私の求める繊細さがなくなってしまいました。サウンディングポイントもスイートスポットが指板寄りへと変化し、駒寄りが弾きにくくなりました。

時間もなく本番も近かったので自分で駒から4mmの位置まで戻したところ非常に弾きやすくなり、ハイドンの交響曲6番とストラヴィンスキーのプルチネルラのソロをその状態で弾きました。曲も古典に近くて非常に気持ちよく弾けて良かったのですが、客席ではやや迫力不足でいつもよりもおとなしく聞こえたという声があったので、少し離しすぎたかもしれません。本番後に少し戻して3.5mmにセット。最終的にはこの魂柱ではこの位置がベストのようでした。

ただ、この魂柱を使っているときは常に音のヌケの悪さを感じました。クリアにカーンと鳴らず、マットな感じがついて回りました。薄くて古い良い駒によってかなり解消はされましたし客席で聴くと良い音なのですが、部屋で弾くとあるいは耳元では鈍くてやや面白くない音でした。やはりもっとすっきりとしたクリアで響きの豊かな音が好みです。

<かなり古い魂柱(6.2mm、長さ-0.5mm)・・写真なし>

こちらも前に陳昌鉉さんの楽器につけていたものですが、こちらも細すぎたとのことでもっと太い6.5mmのものに交換した時に保管しておいたものです。どれくらい前のものかわかりませんが、少なくとも100年などではなく300年は経っているとのことです。現在楽器に付けていて撮影のために魂柱を取り出すのは気がひけるので写真はありませんが(取り出す機会があったら撮ります)、見た目は木目や触った木肌感などはIveオリジナルのものによく似ていて、それが数百年経ったものというところです。片方の切断面にわずかなハーゼが見えますがこちらは木の密度が非常に高そうです。風格のある濃い色で、先の2つの魂柱が白木に見えるほどです。

オリジナルのものよりも少し短く、また切断面も裏板側はピタリでしたが表板側は少しだけアングルが強めなので使えないと思って諦めておりました。が、先日まで使っていた魂柱が1mmも長く、仮にこの魂柱が短めだとしてもセッティングの範囲内であれば、ということで物は試しとばかりに立ててみました。

Ive

ここからは具体的な魂柱調整の話でだいぶ長くなりそうなので次の記事で書きたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました